フランス語のアクサン記号の起源~アクソンはいつ、何のための生まれたのか~

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執筆日:2020年12月20日 リライト日:2021年2月25日

こんにちは!
フランスまとめサイト管理人の伊藤圭(@Kei_japonais)です。

初めてフランス語の授業を受けたとき、印象的だったのが「アクソン」の存在です。

英語ではアクセントといったら、発音の時だけに必要になるだけで、実際に単語を書くときにアクセント記号をつけたりはしないですよね。

ところが、フランス語は「accent aigu(アクサン・テギュ)」・「accent grave(アクサン・グラーヴ)」・「accent circonflexe(アクサン・スィルコンフレックス)」・「cédille(セディーユ)」・「tréma(トレマ)」のように、アクソンが付くことによって読み方が変わります。

特に「cédille(セディーユ)」とか疑問だったんですが、どうして「cédille(セディーユ)」なんてアクソンを作ったのでしょう。
だって、わざわざ「cédille(セディーユ)」なんて使わなくても、「S」を使えば良いじゃないですか。

一体この「アクソン」は、いつ、そしてどこからやってきたのか。

疑問に思っている人も多いと思いますし、何よりも僕自身がとても興味があったので、今回は「フランス語のアクサンの起源」について調べて見ました。

・初めての方向けに自己紹介

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・海外営業部・ヨーロッパを担当する課に所属し、7年以上フランス語と英語を使って仕事をしている。

1. 「アクソン記号」は「同形異義語」を区別するために生まれた

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元々アクソン記号は、イタリアの人類学者達が、ギリシア語やラテン語のテキストを構成するために使用する記号でした。

それが時代を経て、1525年~1540年頃に、「フランス語の文章を正確に伝えるための手段」として、利用されるようになります。

「フランス語の文章を正確に伝える」とは、具体的にどういうことか?
順を追ってご説明します。

アクソン記号が登場する前のフランス語の出版物には、当然ながらアクソンがほとんど使われておらず、signe / signé のように、アクソン記号が無いが故に、読み方によって解釈が大きく異なってしまうケースが多発していたそうです。

そのため、同型異義語の「e」を区別するために、「accent aigu(アクサン・テギュ)」が付与されるようになりました。
これによって、signe / signé などの区別が可能となり、正確な読み取りが可能となります。

また、同時期に「accent grave(アクサン・グラーヴ)」も誕生します。
こちらのアクソン記号については、「accent aigu(アクサン・テギュ)」と同様に、同形異義語を区別する機能(例:des / dès など)に加えて、「語尾の -ès (accent grave + s)」の機能が挙げられます。

後者の「語尾の -ès (accent grave + s)」とは、主に古典ラテン語での語尾が 「~essus」 だった言葉を、フランス語で表記するときに使うものです。

具体的は、古典ラテン語のsuccessusをsuccèsと表記したり、 古典ラテン語のexcessusをexcès と表記したりする時に使われるようになりました。

2.「アクソン記号」の普及に貢献したのは活版印刷業者たち

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「アクソン記号」の普及に貢献したのは、当時の活版印刷業者達でした。

中でも、最も普及に貢献したと言われているのは、ジョフロワ・トリー Geoffroy Tory (1480-1533) という印刷業者。

彼は1529年に出版した著作の中で、以下のようにアクソンの重要性について語っています。

私たちのフランス語には、文章中にアクサン記号がない。これは、ヘブライ語、ギリシア語、ラテン語のように、特定の規則に従って、言語がまだ整理されていないという欠陥のためである。正しく読み書きするため、私はフランス語に明確な規則性を持たせたい。

引用元:DICTIONARIES & BEYOND WORD-WISE WEB 三省堂辞書ウェブ編集部によることばの壺 『歴史で謎解き!フランス語文法 第14回 アクソン記号は、いつからつかわれるようになったの?』筆者:フランス語教育 歴史文法派 より引用(最終閲覧日:2021年2月25日)

考案された「accent aigu(アクサン・テギュ)」や「accent grave(アクサン・グラーヴ)」などのアクソン記号は、当時印刷業界で活躍していた書体デザイナーや活字鋳造の職人達によって徐々に活版印刷技術の中に取り入れられていき、やがてフランス全土に広がっていったと言われています。

これは想像の域を出ませんが、印刷を生業としている者として、作者の意図を明確に伝えたいという想いがあったのかもしれませんね。

3. 「アクソン記号」が現代のように使われるようになったのは18世紀になってから

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アクソン記号が考案された当初は、現在のアクソン記号のように音素の違いを表す機能は持っていませんでした。

つまり、「accent aigu(アクサン・テギュ)」と「accent grave(アクサン・グラーヴ)」は現代でこそ発音記号が異なりますが、当時は同じだったということ。

という訳なので、同形異義語を区別するために上記のアクソンを付与する際、現代であれば「accent grave(アクサン・グラーヴ)」を用いるべきところに「accent aigu(アクサン・テギュ)」が付与されていたり、逆の事象も生じていたりと、両者はあまり区別されていませんでした。

しかしながら、1740年にアカデミー・フランセーズが出版した辞書によって、状況の機能は一変します。

この辞書の出版以前は、『広母音(現代のアクソンのルールだと「accent grave(アクサン・グラーヴ)」を付与)で発音する単語に「accent aigu(アクサン・テギュ)」が使われる』ということが散見されました。

しかしながら、上記の辞書において初めて明確に、狭母音で発音する単語には「accent aigu(アクサン・テギュ)」、広母音で発音する単語には「accent grave(アクサン・グラーヴ)」が付与されるようになります。

従って、言語歴史学者や言語学者たちの間では、「1740年を持って、現代のフランス語のアクソン記号のルールが適用されるようになった」と考えられているようです。

あとがき

今回の記事では言及しませんでしたが、「accent circonflexe(アクサン・スィルコンフレックス)」も「accent aigu(アクサン・テギュ)」・「accent grave(アクサン・グラーヴ)」と同様、16世紀に同形異義語を区別するための考案されたアクソン記号だそうです。

ただ、未だに「cédille(セディーユ)」と「tréma(トレマ)」の誕生起源については謎のまま。

恐らく、他のアクソン記号と同様に同形異義語の区別のために考案されたのだと思いますが、これはあくまで僕の仮説。

また機会があれば、今度は上記の2つのアクソン記号の歴史迫ってみようと思います。

À très bientôt,
Kei

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