
こんにちは!みのりです。
7月から続いている「フランスでの妊娠・出産について」ですが、今回は私の第一子出産体験、出生の手続き(日仏二重国籍の取得方)や父親休暇などについてご紹介していきたいと思います。

出産の体験については、どの国で何人産もうが、毎度かなり個人差があると思うので、「こんなパターンもあるのね」くらいの感じでお読みいただければと思います。
初めての方向けに自己紹介。
みのりについて
・大阪出身の日本人女性
・とあるフランス人と和歌山で出会って、東京で結婚。
・渡仏したのち、息子と娘を出産。
・娘が生後二ヶ月の時に夫の仕事のためオーストラリアへ引っ越し
・現在メルボルンにて夫・3歳息子・1歳娘と生活
1. 第1子の出産~促進剤投与後わずか3分!?~
さて、私は2017年の秋に37週のエコーで胎児の体重3,700gと言われてしまい、38週に「déclanchement(計画分娩)」となりました。
入院準備物を持って、夫婦で朝8時に病院へ向かいました。
指定された場所には他にも計画分娩のために招集された妊婦さんと、そのパートナーが何組かいて、助産師さんからの説明を待っていました。
もちろんみんなソワソワしてますが、陣痛が来てからやってきているわけではないので、大人しかいないし至って穏やかな雰囲気。
全員で、陣痛促進剤での分娩について以下の5つの説明を受けた後、それぞれ待機用の個室へ移り促進剤を投与されます。
夫と「1日中ここにいて本読み切ったら何したらいいかな~」とか話していると、

なんだか下腹が痛い…?
お腹壊したみたいな…?
まさかこれ陣痛?
いやいやまさかね。
だってまだ3分とかしか経ってないもんな?
と思ってるうちにどんどん痛みが増していき、

え⁉
もう来た⁉
本当に⁉
助産師さん呼んだほうがいい?

わからん…!
痛いけど陣痛やったら早すぎじゃない⁉
と二人で困惑しているところにちょうど助産師さんが様子を見に来てくれました。
彼女が私を見るなり血相変えて、モニター見ながら他の助産師さんと「どうする?すぐに先生呼ぶ?」と相談してたらしく、夫はこの時ものすごく怖かったと後から言っていました。
私はというと、とりあえず痛くて助産師さんの会話すら聞こえていませんでした。
経験された方はご存じかと思いますが、陣痛というのはだいたい何時間もかけて「微妙に痛いな~」から死ぬほど激痛にまで変化するものなのですが、私の場合陣痛が来てからものの数分で激痛にまで変化してしまったのです。
何分間隔、とか計る余裕はありませんでした。
というわけで、せっかく暇つぶし用に持ってきた分厚い本を一度も開くことなく、このまま分娩室へ。

「近いから!」と、徒歩で移動させられました。
しばらくして麻酔科の先生が来て麻酔を打ってくれたのですが、陣痛が来ている間は打てないらしく、痛みが引いている間に打つので結構痛かったです。
「陣痛に比べたら全然痛くなかったよ!」と言ってる人もいたので人それぞれ。
麻酔科医の腕によるのでしょうが、私は恥ずかしながら叫びました…。

二人目の時はそこまでだったので、この時のドクターの腕だと私は思っています…。
麻酔が効いてからは落ち着いていましたが、最初に大きな陣痛が来てしまったことで胎児の状態が「大丈夫だとは思うけど、100%安心じゃない」と言われ、結局緊急帝王切開をすることに。
9時に促進剤投与されてから、約3時間後の出産となりました。
すでに背中に注射が打ってあるから、麻酔の中身を変えるだけで移行はとってもスムーズ。
第一声が「おぎゃっ」だったので「泣いた!よかった!」と安心すると同時に、「赤ちゃんって本当におぎゃあって泣くんやな…」と、しょうもないことを考えていると、助産師さんが赤ちゃんを抱えて見せにきてくれました。
手術室に入ってから性別を聞いていないことを伝えていたので、「マダム!赤ちゃんだよ!よく見て!男の子?女の子?」と近づけてくれたのですが、手術台の上で首が横にしか動けない私には顔しか見えず「わ、わかりません…」と悲しく首を振ることしかできませんでした。笑
すぐに気づいて体を見せてくれたので「男の子…!」と声を振り絞って答えたのですが、そのあとに聞かれた質問が「名前は?」。
2. フランスでは出生届の提出期限はたった5日間

生まれてから名前で悩んでいる暇はありません。
なので多くの人たちは名前を事前に決めておきます。

性別を聞いておきたいと思う一因に、これがあるかもしれません。
基本3日で退院。
帝王切開でも4日で退院という入院期間の短いフランスですが、多くの場合母親は入院中or動けないので、書類提出はパートナーの仕事です。
我が家も夫がすべてやってくれました。
子の親が結婚している場合、手続きに必要な書類は以下の通りです。
・Certificat d’accouchement :出産証明書(病院が発行してくれます)
・Piece d’identité :両親の身分証(パスポート、滞在許可証など)
・Livret de famille :家族手帳(子供の情報が追記されます)

大事なポイントとしては、
ということ。
うちの場合、当時Boulogne-Billancourt市に住んでいましたが、出産した病院のあるSaint-Cloud市の市役所に届け出ています。
出生手続きが完了すると、「acte de naissance(出生証明書)」が発行されます。
保育園へ入るときや、日本側への出生届提出の際にも必要になるので多めに発行してもらいました。
残念ポイントとしては、家族手帳に追記される子供の情報。
これ、手書きなんです…。

申し訳ないけど、フランスで読みやすい字を書く人に出会うのは結構レア。
夫婦の情報はきれいに印刷されているのでパッと見のギャップがすごい。笑
3. 日本国籍を取得する場合は在仏日本大使館に必要書類を提出

在仏日本大使館への必須提出書類は4種類。
・出生届 2通(大使館HPからダウンロードするか、大使館でもらう)
・出生証明書 2通(前述の市役所発行のもの。原本2枚or 原本+コピーどちらでもOK)
・出生証明書和訳文 2通(書式を大使館HPよりDL)
・届出人の滞在許可証コピー 1通
※以下の書類は「あれば」でOK!
婚姻事実記載の戸籍謄本(提出ではなく窓口で見せるだけで確認後すぐ返してもらえます)
全て記入例がHPにあるのでそれに従って記入できます。
出生届を書くうえで、めちゃくちゃ小さなことですが個人的に少し戸惑った部分は、フランスの住所や名前をすべてカタカナで表記するところ。

“tion”を「シヨン」の表記が近いと感じるか、「シオン」の方が近いと思うか、人それぞれだと思います。
外国語をカタカナで適切に表記するって実は結構難しいと知った瞬間でした。
最終的に「こんなん人によるやろ…ええわ私の感覚で」と半ば投げやりになって書きましたが、大丈夫でした。
職員さんがこっそり直してくれてたかもしれませんが。笑
この場合、多分一番多いパターンが、フランス側で決めたミドルネームを省いて名字と名前ひとつだけを日本側へ届けるもの。
うちの子供二人も、3番目まで名前があるので日本側へは2つ目・3つ目を省いて届け出ました。
日本にはミドルネームの制度が無いのでもし全部記入すると、中黒、ハイフン、スペースも入れられず「鈴木 龍之介ピエールアントワーヌ」みたいな名前になるからです。
夫の名前も3番目まであるので、彼の日本の免許証の名前欄はきっちきちになって字がちょっと見切れていました。
そんなわけで将来もし子供たちが日本で長期間生活することがあった時を考え、日本での名前は一つにしました。
このタイプの子は、フランス人側家族・友人からギヨーム君と呼ばれてるけど、日本人側家族・友人からはヒロト君と呼ばれています。
だいたいの日仏家庭の子はバイリンガルに育てられているので、子供本人は「モノの名前には2つ言い方があるし、自分の名前も2つあることが普通」と思って受け入れているみたいでした。
体感ですが日仏キッズたちの名づけパターンはだいたいこんな感じだな~と思ってます。
・日本人が発音しやすいフランス名:ノア、マノン、レオ
・フランス人が発音しやすい日本名:ジュン、ケンゾウ、ミナミ
・日本でもフランスでも(+英語でも)存在する名前:アンナ、ルイ、ユウゴ、マリ
・日本とフランスで全く別の名前
4. フランスでは、男性育休の取得が義務化

さて、話は出産した時に戻ります。
先ほど少し触れましたが、入院期間は3,4日です。
基本産んだその日から夜中も母子同室ですが、帝王切開だった一人目の時は、最初の2日間夜だけ赤ちゃんを預かってくれました。
パートナーが病室の椅子で寝泊まりすることも可能だそうですが、助産師さん的には「面会時間ギリギリまでいて、帰ってしっかり寝て明日朝イチ来る方が絶対良い」とのことだったので、我が家はそうしました。
この時夫には男性産休を3日、育休を11日間取得してもらいました。
男性育休が浸透している背景には、フランスでは「里帰り出産」というものがあまりないことも理由の一つかもしれません。
もちろんおじいちゃんおばあちゃんは、お祝いに駆けつけてくれるし、手助けもたくさんしてくれます。
でも、基本的にはパートナーと2人で育児、生活をこなしていきます。
パンデミックが起こってからは、日本でも同じようなスタイルを取らざるを得なかった家庭も多いのではないでしょうか。
5. いよいよ退院~出産・入院費用は日本に比べ格安!~

優しい病院スタッフに助けてもらい、美味しくない食事を「授乳のため!」と飲み込み(最強メニューは味のしない巨大オムレツと、バターを絡めただけの具無しパスタ)、お腹の痛みと戦った入院生活も4日でおしまいです。

無事、胎盤と共に妊娠糖尿病ともおさらばしました!
退院直前に子供の「Carnet de santé(健康手帳)」をもらいます。
ここに生まれてから18歳までの健康状態を記入できるようになっています。
退院の日、小児科とオステオパシー(所謂「整体))の先生に赤ちゃんを診てもらい、問題無ければ退院となります。
整骨院が多くあるからか日本ではあまりなじみのないオステオですが、フランスでは赤ちゃんから大人まで結構お世話になります。

私が退院時病院に支払った金額は€100(約1万3千円)ほど。
個室を希望したからです。

大部屋だった人は€5だけ払って帰ったなんて話も聞きました。
ただ、フランスでも「出産準備金(prime a la naissance)」は給付されます。
2021年の給付額は子供一人に対して€948,28(約12万円)。
双子なら倍、三つ子なら三倍の額が受け取れます。
ただ、給付には所得などの条件付きなので、誰もがもらえる日本の出産育児一時金とは少し違っています。
それでは、退院後の流れはまた次回!
みのり
コメント