こんにちは、みのりです!
今回で5回目の「夫はフランス人」。
前回に引き続き「フランスでの妊娠・出産」に関するお話です。
今回は医療サービスを受ける上で必須である「フランスの健康保険証」についてご紹介した上で、私の体験を例に挙げながら、妊娠初期の病院選び・通院から出産直前までのお話をさせて頂きます。
初めての方向けに自己紹介。
みのりについて
・大阪出身の日本人女性
・とあるフランス人と和歌山で出会って、東京で結婚。
・渡仏したのち、息子と娘を出産。
・娘が生後二ヶ月の時に夫の仕事のためオーストラリアへ引っ越し
・現在メルボルンにて夫・3歳息子・1歳娘と生活
1. フランスで医療サービスを受けるならCarte vitaleの発行必須!
妊娠・出産に限らず、フランスで医療サービスを受けたり薬を買うときに必要なのが「Carte vitale(IDチップ式健康保険証)」です。
これがあれば日本の健康保険証のように、支払いが3割の自己負担分だけで済みます。
Sécurité Sociale(社会保障)に加入すれば、外国人でも持つことができます。
Ameli.fr(L’assurance Maladie:傷病保険のホームページ)で申請し、仮番号発行の手紙→本番号記載のカード発行の順番で自分のSécurité Sociale番号が手に入ります。
この番号、見るだけでわかる情報があります。
こういったことも、以前ご紹介した移民局主催の市民研修で教えてもらえます。
ちなみに残りの3割の自己負担ですが、「Mutuelle」という任意保険に入っていればそれでカバーしてもらえるので負担は0€となることも。
2. Carte vitaleの発行には時間がかかるので注意
数年間日本に住んでいた夫は、元々あった番号を復活させるだけでよかったので、私の仮番号発行と同じタイミングでカードが使えるようになりました。
私の場合、仮番号発行は早かった。
なので、「すぐにカードも来るだろう」とタカをくくっていたのですが…。
そこはやっぱり(流石?)フランス。
なかなか来ません…。
何が困るかというと、仮番号だけだとカードを持ってないのと同じ扱いになり、支払いが一旦全額自己負担になってしまうのです。
その際には支払い後に「feuille de soins(返還申請書)」を発行してもらい、そこに必要情報を記入して郵送で申請し、後に口座に直接返金されるというシステムです。
前回書いたように妊婦期間は、産婦人科、ラボ、エコー専門医、必要な場合は薬局に行かなければならず、それぞれで申請書を発行してもらって全部郵送する必要がありました。
とっても手間!
Carte vitaleを持っていないと、分業制度のデメリットが出てきてしまうわけです。
そしてこの返還申請書ですが、結構わけのかわらない理由で突っ返されます。
一切不備が無いのに返ってきたり、「duplicata(数枚綴りのコピーの方)なのでダメです」と返されたのを見るとオリジナルだったり…。
この時は何も手を加えずそのまま再度送るとまた同じものが送り返され、何回か送り合いの闘いを続けましたが、いつの間にか受領され、私たちは勝利したのでした。
我が家では「一時期担当者にヤバイ奴がいた」説が有力です。笑
というわけで、これでは困る!と夫が「妊婦だから早くしてほしい」と何度も何度も電話をしてくてれて、出産直前にやっとカードが発行されました。
フランスに入国してから1年弱です(笑)
時間かかるなあって思いましたか?
私は、友人から「Carte vitaleの発行はヤバイ。カード発行まで10年以上かかった日本人がいたらしい」という本当か都市伝説かわからないけど、フランスならそういうことあってもおかしくないよね?絶対嘘でしょと言い切れないあたりが怖っ!という噂を聞いたので、結局手間はかかったけどなかなかうまくいったと感じました。
フランスに住むと、ありとあらゆる行政手続きへの期待度が下がっていきます。
仕事なんだからちゃんとしてくれ!とは思いますが、逆に向こうもこちらの不手際なんかを許してくれることがあるんですよね。
全体的な文化として他人に寛容(諦めに近いことも…笑)なところはこちらが学ぶべき部分だなと感じます。
3. フランスでの出産は思ったより安心~日本語の通じる診療所もある~
日本国外での妊娠・出産というと、よく「大変だね!」と言われることが多いです。
私も日本に住んでたら絶対言うコメントだと思います。
ただ、私はフランスでしか妊娠・出産経験が無いので、日本での経験が既にある人よりもフランスのシステムを受け入れやすかったです。
もちろん妊婦としての不安や大変さはあるのですが、フランスは医療レベルが高く、産院には必ず産科麻酔科医が常駐しているので、麻酔を使用した分娩が基本になっており(希望すれば自然分娩ももちろん可能)、言語と慣習さえ理解できれば結構安心して過ごすことができると個人的には思います。
ただ、これは無事に二人出産した今だから言える感想かもしれませんが…。
言語については未経験のことばかり、しかも医療用語いっぱい!ということでとっても不安ではあったのですが、なんともラッキーなことに、当時の自宅から徒歩5分のところに日本語を話せる産婦人科の先生のキャビネ(cabinet=医院・診療所)があったのです。
普段は色んな口コミを調べて他と比べて決めますが、ここは迷わず決めました。
在仏日本大使館のHPでも紹介されている先生です。
穏やかなおじいちゃん先生で、コットンを「脱脂綿」、助産師さんを「産婆さん」と仰っていて、若い頃に日本語を習得されたのがわかって、お話してて面白かったです。
キャビネの設備はけっこう年季が入っています。
先生曰く、新しくしたいけど、実際問題自分は高齢なので、そのうちにキャビネを譲らなければならない。産婦人科医に譲るとは限らないので、設備が無駄になってしまうことを思うと買いなおせない…とのことでした。
こんな風に雑談では正直にいろんなことを話してくれる先生でした。
ある時は「さっきDoctolibの営業さんが来たんだけど、どう?使ってる?」と意見を聞かれたりしたことも。
ちなみに、Doctolibとは医療機関専門の検索・予約サイト・アプリのこと。
全てネット・アプリ上で完結するので非常に便利で、私はよく利用していました。
4. 妊娠中期から病院が変わります
妊娠が発覚してからすぐこの先生にお世話になっていたのですが、赤ちゃんをとりあげてくれるのはこの先生ではありません。
しばらくはかかりつけ医のキャビネに通い、毎月妊婦検診を受けますが、妊娠中期あたりで実際に出産する産院へ移ります。
そのため妊婦は、妊娠がわかったタイミングでかかりつけ産婦人科医とは別に産院を探して予約する必要があるのです。
何件か病院を見学に行く人も多いとか。
つわりが始まっていたりするとなかなか大変そうです。
私はというと、かかりつけおじいちゃん先生が週一で勤務しているCentre Hospitalier des Quatre Villesへ希望すれば入れると言われて、「お願いします!」と即答しました。
事前見学はしていませんでしたが、家から車で15分程度、事前にネットで調べていて気になっていた病院、しかも予約等の手続きを先生が全部やってくれる!と好条件がそろっていました。
ここは周辺4つの市が共同で設立した病院で、他の場所にも同じ名前の病院が存在し、Saint-could市にあるものは産婦人科専門となっています。
以前はSèvres市にあったのですが、私が一人目でお世話になる直前に今の場所に移転したようです。
建物も設備も新しくて、院内は清潔で入院中も快適でした。
5. 妊娠糖尿病が発覚~食事に気を付ける日々~
産院へ移ってからの妊婦検診が始まると、一度はかかりつけのおじいちゃん先生に診てもらいましたが、他はほぼ助産師さんとの検診でした。
内診をするのも処方箋を出すのも助産師さんです。
検診の頻度は特に異常が無ければ臨月になっても変わらず月一です。
助産師さんとの検診以外では、麻酔科医が大部屋で30人ほどを前にして行うAnesthésie péridurale(硬膜外麻酔)の説明会、麻酔科医との個別面談(病歴、手術歴、麻酔の経験、アレルギーなどの確認)、両親教室などで通院する機会があります。
また、私の場合はDiabète gestationnel(妊娠糖尿病)が32週ごろで発覚したので専門医が行う説明会(一度に10人ほどでした)にも足を運びました。
さて、その妊娠糖尿病なのですが、胎児が4kgオーバーの巨大児になる可能性があり出産が困難になること、また新生児低血糖症などになることが大きなリスクです。
※参照:公益社団法人日本産科婦人科学会ホームページ
説明会ではまず助産師さんから妊娠糖尿病について、糖質制限の食事について、毎日食前食後に自分で血糖値を測るのでその測り方などについて説明を受けました。
休憩をはさんで後半は専門医の先生から全体への説明と、個別面談。
先生から最初に言われたのは「胎盤が出してるホルモンのせいだから、産んで胎盤を出してしまえば、ほとんどの人が治ります。ただ、たまーにこれきっかけで本当に糖尿病になってしまう人もいるけどね。」ってことでした。
「産むまでの辛抱だから食事制限頑張ってね」ということでしょうかね。
私は30週過ぎていたのであと少し感がありましたが、まだ一切お腹の大きくなっていない妊娠初期っぽい妊婦さんも中にはいたので、彼女は10ヶ月間色々と気をつけなくちゃいけなかったんだろうなあ…。
食事制限については、一日三食ではなく5,6回に分ける分割食にして、糖分の摂取量に気を付けることがメインです。
ですが、妊婦なので摂取カロリーを落とすことができません。
しかも私は妊娠後期。
一日に2000kcal近くを摂取する必要があるのにお米やパン、ケーキなんかはたくさん食べられないわけです(よりによって美味しいパンとケーキが身近にあふれているフランスで…!)。
妊娠糖尿病発覚時の体重は妊娠前より+6kgだったのですが、食事制限+胃が圧迫されてたくさん食べられないので体重は増えず。
なのに栄養は胎児にどんどん吸い取られていって顔がやつれてしまい、生クリームにステビア(0カロリーの自然甘味料)を混ぜてホイップクリームをボウルから直接食べていたこともありました。
バケツプリンみたいに夢ある感じではなく、血糖値を上げずにカロリーを取るために効率の良い方法というだけだったので、こんなことばっかりしてて、この時期食事が全く楽しくありませんでした…。
この毎食のメニューと測った血糖値をMy Diabbyというアプリに入力すると、週一で先生がチェックを入れてくれます。
問題なければコメント無しですが、問題があればメッセージが来ます(この食材で血糖値が上がってるので控えてください!など)。
私は食事内容に問題がないにもかかわらず、血糖値がどんどん上がるようになってしまったので、メッセージでは終わらず先生から直接電話もかかってきて、「インスリン注射を始めましょう」という残念な流れとなってしまいました。
注射苦手なので憂鬱ではあったのですが、血糖値にはばっちり効果があり、食事に関しては、これ以降少し気楽に過ごすことができました。
このインスリン処方のために病院に一泊だけ入院したのですが、かの有名な「最高に美味しくないフランスの公立病院食」を経験したので、これはヤバイ…と入院準備物に自分の好きな美味しいお菓子を詰め込むことができました。
レベルを事前に知れてよかった~~笑。
6. 胎児は順調に成長
前回、エコーの回数がトータルで三回しかないというのをご紹介しましたが、私は妊娠糖尿病のせいで37週に一回プラスして行っています。
胎児の体重を確認するためです。
33週に見てもらった時に既に体重2500gくらいで「大きい子だね!」と元々言われていたのですが、37週ではなんと3700gになっていました。
4週間でこの増え方…。
エコーの先生の見解は「妊娠糖尿病で、というよりはそもそもこの子大きい子なんだと思うよ」とのことだったのですが、どっちにしてもこの数字で出産が恐怖になることには変わりないですよね…笑。
結果を産院に持っていくと、40週まで待ってると4kg超える可能性があるから38週に陣痛促進剤を使って分娩しましょうと言われました。
計画出産の良いところは事前に心の準備ができることかな。あと、誕生日がすでに決まってるって不思議な感じ。
というわけで、次はいよいよ第一子出産です。
書いていると当時を思い出してドキドキしてきました。笑
また次回!
みのり
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