こんにちは、みのりです。
前回の記事では、「フランスでの第一子出産体験」や「二重国籍の取得方」・「フランス企業に勤務する男性の育児休暇」についてご紹介しました。
今回の記事では、退院後に気になるであろう以下の3点についてご紹介します。
- 産後の乳児検診
- 産後の母親へのケア
- フランスの母乳育児環境
初めての方向けに自己紹介。
みのりについて
・大阪出身の日本人女性
・とあるフランス人と和歌山で出会って、東京で結婚。
・渡仏したのち、息子と娘を出産。
・娘が生後二ヶ月の時に夫の仕事のためオーストラリアへ引っ越し
・現在メルボルンにて夫・3歳息子・1歳娘と生活
1. フランスで受けられる乳児検診について

出産後自宅に戻り、夫と二人三脚の親としての生活がスタートするわけですが、帰宅後も引き続き助産師さんのサポートを受けられます。
入院中に予約しておいた日時(我が家は退院翌日でした)に助産師さんが自宅を訪問してくれ、赤ちゃんの検診、育児相談、母親の体調チェックなどを行ってくれます。
1-1. 1ヵ月検診までは毎週1回新生児検診が受診可
その後一ヶ月検診を迎えるまでPMI(Protection Maternelle et Infantile)と呼ばれる地域の保健センターで週に一回新生児検診を受けます。

パブリックなのですべて無料!
育児やお母さんの産後の体調についても相談できます。
1-2. フランスの乳児検診
フランスの乳児検診は個人で予約を取って行います。
1ヶ月以降は1歳になるまで毎月一回検診があり、
予防接種も検診のタイミングで一緒に受けられます。
PMIで行った場合、ワクチンもセンター側で用意してくれており、受診料はもちろんワクチン代も無料だとか。

実は私は、小児科GP(一般医)で予約を取っていました。
当時住んでいた家から最寄りのPMIが徒歩20分と少し離れた場所にあり、産後体があんまり元気じゃなくて行くのが億劫だったのと、一人目だったので小児科医に診てほしかったことなど諸々の事情があったため、小児科での受診を選択しました。
日本と大きく異なる部分は、ズバリ予防接種用のワクチンの準備です。
事前に処方箋を出してもらい、こちらが薬局で購入して自宅の冷蔵庫で保存しておき、当日持参します。

病院側でワクチンを管理・保管している日本とは、上記の点が大きく異なりますね。
2. フランス独特の母親へのケア:ペリネケア

フランスの産後の過ごし方で特徴的なのは、子供だけではなく母親のケア「Rééducation périnéale (ペリネケア)」が存在することではないでしょうか。
ペリネとは、「骨盤底筋群」を含む骨盤底全体のこと。
膀胱・子宮・直腸など、妊娠出産でコンディションが崩れるどころか、フルボッコというか木っ端微塵というか…とにかく大ダメージを受ける部分を支える筋肉です。
助産師さんとのセッションが10回、その後kinésithérapeute(通称Kiné。理学療法士)とのセッションが10回で、合計20回の通院が可能。
産院で、受診のための処方箋を退院時に出してもらい、退院後一度かかりつけ産婦人科医で検診を受け、問題無ければペリネケアを開始できます。
保険適用で、費用は国が負担してくれます。
私は家から徒歩3分の場所で助産師二人とキネが一緒に入っているキャビネを見つけたのでそこに通ってすべて完了させることができました。

友人の一人がお世話になった助産師さんは、自宅に訪問してくれるタイプだったそうです。
2-1. みのりのペリネケア受診時期:第一子は産後4ヶ月、第二子は産後1ヵ月
一人目の産後は帝王切開の後下腹部に力を入れることが怖かったので(ビビり)産後4ヶ月くらいで始めました。
息子を夫に預けられるときは一人で行きましたが、できなければ子供も連れていきます。
おもちゃに飽きて受診中ギャン泣きということもちょくちょくありましたが、セッションが終わるまでは親も助産師さんも動けません。
診察台から声をかけ続けはしますが、基本バウンサーに放置です。

助産師さんのキャビネだから、ということももちろんありますが、多分フランス全体的に、赤子が泣いても周りの大人は良い意味であんまり動揺しない気がします。笑
経膣分娩だった二人目の時は比較的体の回復が早く、産後一ヶ月で開始しました。
生後すぐに連れて行った方が寝てくれることも多いのでこっちの方が楽ではありました。
2-2. 助産師さんとのセッション内容
助産師さんとのセッションは、産婦人科での内診のような感じで行われます。
診察台に寝転んで、手袋をはめた助産師さんが指で筋肉の動きを確認してくれます。
妊娠編で書くのを忘れていましたが、フランスの産婦人科には日本の様に内診台に患者と医師を遮るカーテンはありません。
自動で上に持ち上がったりもしません。
内診中に医師や助産師さんと目を合わせて雑談する事も多いです。

この時も、パリでめちゃくちゃ雪が積もった時期だったので「モンマルトルの坂道でスキーしてる人の動画見ました?」、「見た見た!あれはやばいw」とか言いながら初回セッションが始まったのを覚えています。笑
- 「トイレを我慢するときの様に」
- 「そのまま3秒キープ」
- 「10秒キープ」
- 「一気に力を抜いて」
- 「ゆっくり徐々に力を抜いて」
など、色々な指示があるのですが、見えない筋肉を今まで意識して使ったことなんてないありません。
というわけで、ものすごく怪訝な顔しながら「正解がわからん!!!」と思いつつやってました。

私は出会いませんでしたが、「波の様に」「お城の門が閉まっていくイメージで」など独特な表現をされる助産師さんもいるらしいです。
お城の門って…下の写真の持ち上がって閉まるタイプのやつのことだと思いますけど、難しすぎない??
どうやってやるの???笑

セッションの回数を重ねると、途中からは薬局で手に入れたsonde(カテーテル)を持参します。Sondeを機械に接続し、画面を見ながらグラフの形状に合わせて力を入れるトレーニングに変わります。
助産師さんとのセッションが終了すると、「経過を見るために半年後にまた予約してね!」と言われました。(が、すっかり忘れていて結局行ってません。笑)
2-3. 理学療法士とのセッション内容
次はキネとのセッションが始まります。
こちらは主に腹筋を使ったじわじわ効いてくる系の筋トレです。
腹筋を切っている帝王切開組にはこちらの方がきついかもしれません。
地味な動きなのにセッションが終わった後汗だくだったことも…。

キネのセッションについて思い出すために調べていたら、なんと私がお世話になった方のビデオを発見しました!
出産後の母体のケアを自動的に提供してくれるこのシステム、なかなか素晴らしいと個人的には感じました。
赤ちゃんのことでいっぱいで自分の体のことを気にかける余裕も無いことが多いと思うのですが、子供を産んでおしまいではなく、ここからがスタートなので自分の体を元に戻すってとても大事なことですよね。
また、産後しばらく助産師さんに定期的に会う機会があったおかげで、授乳トラブルがあった時ペリネケアで通院したついでに相談して専門の先生を紹介してもらえたのはすごく助かりました。
ミルク育児が多いフランスで、母乳外来を受け付けている医師を探すのは日本よりも難しいので…。
3. フランスでの母乳育児について

というわけで、最後にフランスの母乳育児について。
母乳育児を希望すると伝えると、入院中母乳指導専門の助産師さんに指導してもらえます。
帰宅後、自宅訪問もしてもらえました。
3-1. ミルク混合・完全ミルクが多いフランスの育児
フランスでは母乳信仰がそこまで強くありません。
産後だいたい半年、早くて3ヶ月で復職し、保育園に預けなければいけない人が多いことが大きいのかなと思います。

このため、たとえ母乳の出が良くてもミルク混合や完全ミルクを選ぶお母さんも多いようです。
あと影響が強そうなのは昔の慣習。
最近では産院で「可能であるなら1年は授乳した方がいい」という指導がされていますが、昔「生後3ヶ月以降は母乳よりもミルクのほうが栄養価が高いからミルクをあげるべき」みたいな時代があったそうです。
そのためか、私の日本人友人は生後半年過ぎて授乳してると、フランス人義母から「まだ母乳あげてるの?フランスではそんなことはしない。やめたほうがいい」としつこく言われたそうです…。
あと、噂には聞いていましたが、本当に「胸の形が崩れるから母乳は続けたくない」と言っている人に実際出会ったときは衝撃を受けました。

でも事前に聞いていたおかげで「チャレ○ジで習ったやつだ!」的な感じで動揺を表に出さず対応できたと思います。笑
子どもがいると、女である自分よりも母である自分を優先しがちになる人が多い(というか今も自分がバリバリそう)と思うので純粋に「すごい」の一言です。
3-2. もちろん完全母乳育児も可能
もちろん母乳育児を貫くこともできます。
特定の薬局で搾乳機のレンタルもできます。
薬局やBIOスーパーなどでWELEDAの母乳の出が良くなるというハーブティーも買えます。
水の代わりにがぶがぶ飲んでました。
ただ、授乳室が街中の本当にどこにも存在しないので最初の頃はおでかけが大変でした。
みんなケープかけてるか、もはや何も隠さずベンチで授乳してる人も結構見かけます。
それが普通なので、公園やカフェ・レストランの席で授乳してても誰からも変な目で見られたりすることはありません。

緊急の時はこの環境に助けられました。笑
ちなみにおむつ替え台がある場所も稀なので基本、公園のベンチとか芝生の上とかです。
最初は抵抗ありまくりでしたが、デパートやキッズスペース付のカフェでも行かない限りもうそれしか方法が無いので慣れるしかありません。

そのおかげか(?)おむつ替えの手際はよい方だと思います。笑
3-3. 最初の哺乳瓶は日本のものがおすすめ!

フランスはミルク育児が多いと書きましたが、スーパーで販売されているミルクの種類の多さや、日本で発売されるもっと前から液体ミルクが売られていることでもそれは実感しました。
しかしながら、哺乳瓶のクオリティは日本のほうが高いです。

Pigoenの母乳実感の形や出る量など、母乳指導の助産師さんもべた褒めでした。
多く飲めるようになってきたら簡単に手に入るフィリップスやニュークなどでもちろん大丈夫。
在仏妊婦さんには、一時帰国時や、日本から送ってもらうなどして、最初の頃の哺乳瓶だけ日本のもので準備することをおすすめします!
それではまた次回!
みのり
追伸
今回ご紹介したペリネケアですが、これをテーマにしたSketch(スケッチ)=コントがあります。
ちょっと早口で難しいかもしれませんが、字幕もあるので、良かったら是非とも見てみてください!
会場の大多数の方が笑っていることが分かると思います。
日本人の我々にとっては馴染みのないペリネケアですが、フランスでは出産を経験された人が当たり前のように経験しています。
その雰囲気だけでも伝わったら、とても嬉しいです!
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