フランス語を使って仕事をしている方にインタビューをするという本企画も今回で2回目!
この度は、神奈川県川崎市にある武蔵小杉にお住まいのマヌーさん(芸名)へのインタビューとなります。
前回の矢田さんと同様に、まぬーさんともTwitterで知り合いになりました。
そして、今回たまたま僕の企画に関するTwitterの投稿にご賛同下さり、その流れで快くインタビューを受けて下さった次第です。
本当に感謝です!
インタビュー内容に移る前に、初めての方向けに管理人の自己紹介だけさせて下さい。
1. マヌーさんのプロフィール
マヌーさんは桜美林大学経学学部経済学科に入学され、大学在学中に英国にあるカベンディッシュカレッジ(トラベル&ツーリズム)に留学し、国際航空券の発券資格を取得されます。
大学卒業後の2000年には新卒として旅行会社に勤務されますが、2001に「9・11」を経験。
世界情勢に左右される旅客業では非常に不安定であることから海運業を志し、2002年7月に旅行会社を退職。
2002年9月にアントワープ大学大学院(海運経済学科)に入学され、修士号取得。
その後、ベルギーで日系某海運会社に就職。
以後、10年間ベルギーにて勤務されました。
ベルギー駐在中の2011年7月。
パリで開催された日本文化の総合博覧会であるJAPAN EXPOに、当時の交際相手であり、現在の奥様兼相方であるシラちゃんと来場します。
大盛り上がりの会場にて、
「今や日本の主要産業である製造業は中国や他のアジア諸国に抜かれてしまったが、ソフトコンテンツ(マンガ・ゲーム・伝統工芸などの文化)は違う!日本はソフトコンテンツでなら世界で勝てる!」
と、マヌーさんは痛感されたそうです。
2012年に日本に帰任。
ソフトコンテンツにおいて「どのように戦っていくか」を入念に検討しながら、会社勤めよりも不安定な収入になることに備えて地道に貯蓄に励みまれました。
6年間の準備期間を経て、2018年にNSCこと吉本総合芸能学院に夫婦揃って入学。
2019年4月に、「日本で唯一フランス語で漫才ができる国際夫婦漫才コンビ フランポネ」としてデビューを果たします。
2. マヌーさんは「日本で唯一フランス語で漫才をするお笑い芸人」
というわけで、マヌーさんは「日本で唯一フランス語で漫才ができるお笑い芸人」です!
これまで英語で漫才や落語をする方々などは何人かいらっしゃいましたが、「フランス語で漫才」をされる芸人さんは居そうで居なかったですよね。
気になるコンビ名はフランポネ!
これは、フランス語の「français」と「japonais」の造語です。
お二人は結成当時から活動場所を日本とフランス語圏(フランス・ベルギー・スイス)としており、日本語とフランス語の二つの言語でネタを作っています。
それぞれの文化や笑いのツボ・感覚に合ったネタを作るため、日本語のネタは日本人の感覚を知っているマヌーさんが、フランス語のネタはフランコフォンの感覚を知っているシラちゃんが書いているそうです。
また、日本語の場合はマヌーさんがツッコミ、シラちゃんがボケですが、
フランス語の場合はお二人の役割が逆になります。
これもフランポネとして考えている世界観を出すために、敢えて逆にしているそうです。
2019年4月にデビューしたばかりにもかかわらず、フランポネさんは既に大活躍!
国内でのネタの披露は勿論のこと、既に多方面に渡ってご活躍されていらっしゃいます。
- 日本国内の大学の留学生を対象に「漫才で覚える日本語」をテーマにワークショップを実施
- 2020年2月16日にスイスのローザンヌで実施されたスイス版Japan ExpoであるJapan Impactに「主催者からの招待」というとても栄誉ある形で国際デビュー
- 国内の某大学のフランス語学科の学生さんを対象に「漫才で覚えるフランス語」というテーマで講義をするお仕事が決定(2020年秋に実施済)
3. 「でも、どうして芸人に?」~エリートから芸人への道~
大手日系海運企業を退職され、お笑い芸人になられたマヌーさん。
僕はどうしても聞きたかった質問を、マヌーさんに投げかけました。
いやマヌーさん、どうして芸人になられたんですか?(笑)
マヌーさんが日本の製造業の限界を感じられていたこと、そして日本のソフトコンテンツに今後の可能性を感じられたことはよく分かります。
でも、失礼な話ですが、会社勤めと比較すればお給料は下がるかも知れないですし、生活も不安定になるかも知れません。
そんなリスクが有りながら、何がマヌーさんをそこまで駆り立てたのでしょうか?
マヌーさんにとってのモチベーションは、いったい何だったんですか?
という管理人のマシンガンのような質問に対して、マヌーさんは少し微笑みながらこう答えました。
それはヨーロッパで言うC’est la vie! なんですよ!
当時のお仕事にも大きな不満はなかったマヌーさんですが、それよりも日本のソフトコンテンツが世界で通ずると分かったあの2011年7月のJapan Expoで、こう確信されたそうです。
「自分がやりたいこと、自分が楽しんで出来ることはこれだな!」
例え給料が下がろうが、生活が今より不安定になろうが、芸人が自分のやりたいことで、それをやることで自分の人生がより幸せになるのなら、c’est la vie(仕方がないこと)なんです!
僕は今、確かに給料は以前より下がりました。
でも、やりたいことができているから、今はとても幸せです!
しかも、(この業界なら)これから自分の実力次第でいくらでも勝っていけますから!
と、マヌーさんは芸人になられた理由と共に、今の充実感を熱く語って下さいました。
マヌーさんの仰ったことは、管理人にとってはとても腑に落ちます。
管理人の最初の就職先は海外との取引はゼロで、フランス語はおろか英語も全く使う機会がありませんでした。
その時は、人生がとてもつまらなかったです。
何をやっても、心底楽しめていなかったと思います。
そんな抜け殻のような生活を送って、「やっぱり自分にはフランス語しかない!」と思い立ち、フランス語を使える仕事を必死で探して、現在の仕事に出会いました。
採用面接で、面接官に「前職の年収がいくらで、この仕事に求める年収はいくらくらいですか?」と面接官に聞かれた時、管理人は本音で、こう答えました。
フランス語を使える仕事というのは、私が心の底から探し求めていた仕事です。
この仕事につけるのなら、お給料はいくらでも構いません!
管理人とっては、「やりたいことをやる」ということが人生において一番大切な軸です。
なので、管理人は「やりたいこと」と「給料」を天秤にかけて、「やりたいこと」を取りました。
マヌーさんもこの点において、きっと僕と同じ考え方をされる人なのではないかなと思います。
4. マヌーさんのフランス語の勉強方法
ここからは、マヌーさんのフランス語の勉強方法についてご紹介します。
いきなりですが、マヌーさんはこう仰っていました。
僕は少し特殊なんですよね…。
そして、
う~ん…話を伺うと、確かに少し特殊だなぁ。
と管理人は思いました(笑)
マヌーさんがフランス語を学び始めたのはベルギー駐在時代。
駐在場所のアントワープはオランダ(フラマン)語圏であったものの、ベルギーはフランス語も公用語。
そのため、市役所などの行政機関が実施している外国人向けの市民語学講座の中には、フランス語もあったそうです。
「国の公用語なのだから、住んでいる地域がオランダ語圏だったとしても、必要になるだろう。
と思ったマヌーさんは、早速フランス語の市民講座を受講。
フランス語は全くのゼロからの勉強だったものの、大学生の時にスペイン語を第二外国語として選択されていたため、動詞の活用や男性名詞・女性名詞、姓数一致などの文法事項の素地があったのでしょう。
意外とすんなりと入って行けたそうです。
そもそも、マヌーさんは大学卒業後にイギリスに留学されているので、英語はペラペラ。
ベルギー駐在時代の担当市場はスペインとイタリアであったということと、大学生の頃の第二外国語がスペインであったということもあり、スペイン語もペラペラでした。
スペイン語とイタリア語は似ていることに加え、マヌーさんはイタリアに短気の語学留学も経験されていらっしゃるので、イタリア語もお話しになられます。
いや、マジでスーパーマンですよね!
市民講座でフランス語を学ばれたマヌーさん。
ベルギーのという立地を活かして、夏期の長期休暇中にパリでプライベートの語学学校に通いながら、ホームステイも経験されます。
マヌーさんの話を伺いながら、「ヨーロッパの人々は、こうやって色々な近隣諸国の言葉を覚えて行くのだろうなぁ」と考えていました。
マヌーさんがフランス語を学ばれた時の環境・条件というのは確かに特殊だと思いますが、語学習得の上で普遍的だなと思ったのは、マヌーさんが以下のことを積極的に作り出していったということです。
- 学習中の言葉を使用する機会
- 学習中の言葉に触れる機会
マヌーさんは休暇を利用して、フランスやイタリアに短期の語学留学に行かれています。
これは、「学習中の言葉を聞く・話す機会を作ることが、語学の習得には必要だ」
と、マヌーさんが考えられていたからだと思います。
マヌーさんは短期留学の他にも、Japan Friends(2022年3月4日現在サービス停止)という「言語交換:échange de langue」をするためのパートナーを探すサイト(左記サイトは現在は閉鎖されています)を通じて、ペン(E-mail)フレンドとしてシラちゃんと出会われました。
きっと留学以外でも、日常的にフランス語を使う機会を得るためにペンフレンドを探されたのでしょう。
たくさんの言葉を話すマヌーさんが、語学習得の過程で行った「言葉に触れる機会」の創出。
これが、語学習得においては鍵になるものだと思いました。
5. マヌーさんからフランコフォンの皆さんへのメッセージ
ここでは、マヌーさんからフランコフォンの皆さんへ、以下のメッセージを頂きました。
日本でフランス語と聞くと、少し高尚というか、英語よりハードルが高いイメージがありますが、漫才という日本の大衆文化の中にフランス語を取り入れることで、「日本の人々にとっても、フランス語をより身近な存在」にしていきたいと考えています。
日本で唯一フランス語で漫才が出来るフランポネ!
宜しくお願いします!
フランポネのお二人はTwitterでそれぞれ日本語・フランス語で日々の活動や漫才に関する発信を行われています。
もし宜しければ、この機会に是非ともお二人をフォローして、共に応援していきましょう!
「フランス語人材のキャリアパス」は今後も続いて参ります。
楽しみにしていて下さいね!
À très bientôt
Kei
コメント